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ヘレンケラーの通訳をした日本女性
昭和12年4月、ヘレンケラーの来日に当たり、通訳の募集が行われた。
募集を知った奥田幸子さんは、通訳を志願する。
面接会場のホテルに向かうと、会場にはヘレンケラーらしき人物の姿が…
実はヘレンは数日前に来日しており、３ヶ月ほど滞在する事になっていた。
しかし慣れない日本、色々困り、通訳の女性を探していた。
面接では得意の英語を披露し、綺麗な英語だと褒められ、幸子さんは見事合格する。
しかし、いざ合格すると急に不安が襲ってきた。
(私で本当に大丈夫だろうか…。だって、ヘレンは目と耳が不自由だし…一体どうやってコミュニケーションをとれば良いのか…)
実はヘレンケラーは特殊な方法で会話をしていた。
それは手の平に点字や文字を綴る、サリバン先生と考え出した独自の方法である。
これを秘書のトムソン女史が受け継ぎ、英語に訳し、皆に伝えていた。
しかし驚かされたのは、目･耳･口が不自由だと言われていたヘレンだが、しっかりとした言葉を話せていた事だ。
サリバン先生の教育の賜物である。
日本滞在中、ヘレンは全国39箇所で講演を行った。
時にはヘレンと幸子さんが二人きりになる事もあった。
しかし幸子さんはヘレンが使う点字や指文字を知らない。
二人は一体どうやって会話をしていたのか…
ヘレンが、
Which flower do you like？
(貴女はどんな花が好き？)
と質問をすると、幸子さんの喉に親指、口に人指し指を、鼻に中指を当てる。
そして…
I like a cherry blossom.
(私は桜が好きです)
と幸子さんが答えると、
I like cherry blossom too.
(私も桜は大好きです)
とヘレンは答えた。
何とヘレンは唇と喉の動き方で言葉を読み取り、会話をする事が出来たのだ。
滞在中、ヘレンはサリバン先生との思い出を、何度も何度も幸子さんに語って聞かせてくれた。
幸子さんはその話が大好きだった。
そして日本の滞在もあと数日に迫った頃…
ヘレンはどうしても幸子さんに聞きたい事があった。
「この後、貴女はどうするの？」
「私は、努力して素晴らしい教師になります」
ヘレンからサリバン先生の話を聞かされ、教育の大切さを知った幸子さんは、人生の目標を見つけたのだ。
その話を聞いたヘレンは、幸子さんにあるものを贈った。
それはヘレンがサリバン先生からもらった、真珠のネックレスを指輪にし大変貴重なものだった。
その指輪には、幸子さんにサリバン先生のような教師になって欲しいという気持ちが込められていた。
その後、幸子さんは高校の英語教師となり、定年まで39年間、熱心に指導した。
晩年、幸子さんは語っている。
「ヘレンさんの言葉は、ちょっとこもったような声で始めは分かりにくいんですけど、よく耳を澄ますと分かるんです。それで座ってらしても見えないとか聞こえないとかいう感じが全然なくて、今、誰が走ったとか、誰が通ったとか全部分かるんです、まるで見えてるかのように…」
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伝記では、一部しか載ってなかったので感心してしまいました。
ヘレンケラーは幼き頃から自分と向き合い続けるしかなかったので、馴染みぶかい人の特徴は何かと掴みやすかったのでしょう。
例え、端から見れば眼と耳が不自由だと思われていても…。
何処かの国の方で眼と耳が不自由でも自転車に乗っている人も居るそうです。
その方曰く…肌で感知するものがあるとか。
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