中絶

主さんは今まで、本当の彼を見てこなかった。
そう感じました。

主さんは、「普段は無口で気弱だけれど、いざとなったら雄々しく立ち上がる彼」
という「理想像」を勝手に彼に投影して、その虚像ばかり見てきたのではないでしょうか。

でも、現実の彼は、事前に予行演習をしても、いざとなったら声が出ない、
やっぱり気弱な男でした。
だから、裏切られたと感じたのですね。
でもこれは、裏切りでもなんでもない。
それが、彼なんです。

貴女が「信じていた」のは、貴女が理想化した彼の姿です。

だから、彼を凝らしめたいというのは、間違いです。
それは、彼の責任ではないのですから。

彼にしたら、迷惑な話かも知れませんね。
一方的に、「できるはず」「してくれるはず」と、理想像を押し付けられたのだから。

ご両親と会ったとき、貴女が口添えすることもできたはずです。
貴女が彼とならんで、彼より先に頭を下げることもできたはずです。
妊娠は、二人の責任なんですからね。

でも、貴女は彼が貴女の理想通りに動くのを待ったのですね。
でも、彼は違った。
彼は、彼自身なんです。

貴女が現実の彼を受け入れることができないのなら、別れるしかないでしょうね。