高校球児たちの終わった夏

《ピッチャー第一球投げたぁっ！ストライク！！バッター動けず！！》


甲子園か…

「うーみーはーひろいーなー、おーきーーなーー♪ってか(笑)」

「おい、野球の話は無しだぜ？キーチよぉ」

「あ？…あー」

「おー、浜屋ー、火ィ貸してくれや」

「キーチぃ、もう甲子園は終わったんだぞー、準決まで行っただけスゲーじゃねぇか」

「…野球は俺の全てだった…」

「けけ(笑)まーだ言ってるぜ、コイツ」

「やめとけって、中井ちゃん」

「お前はいつもそうだ…大事なとこでやらかしてくれる」

「よせよ、キーチ…。ったく…見苦しいぜ？試合に負けて悔しい思いをしてるのはお前だけじゃないさ」

「まあまあ、キーチ、浜屋ぁ、今さら愚痴ったってしょうがねーべ(笑)つか潮風が気持ちいいねー」

「おい、見ろよ、アイツら女ナンパしてるぜ？」

「んー…季節外れの海岸物語ー、なんつってな(笑)」

「女のケツ追っ掛ける事しか脳がねーんだよ、あの類いの連中は…下らん」

「あーあ、退屈だなー、なんかおもしれー事ねーべか、浜屋」

「あん？おもしれー事？…んー…またあの解体場に行ってみっか？」

「解体場？…あぁ、あそこなー」

「夜に忍び込んでよ、誰もいねーべ？けっこうおもろいもん有りそうだぜ？」

「よし！決まりだな、行くべ行くべ。キーチ、お前も来いや」

「んー…。オリャあっ！ストラーイク！バッターアーウト！！」

「ゲッ、いきなしびくった。キーチちゃん、分かった分かった(笑)」

「浜屋…あん時お前はストレートを要求した」

「うん？」

「お前の言う事はいつも正しい…」

「どうしたんだ？キーチ…。あの直球は最高だったよ」

「だろ？最高の球さ…」

「おい、キーチ！浜屋！見ろ！夕陽が水平線に沈んで行くぞ！」

「あ？いきなりなーに言ってんだ中井(笑)」

「なんか青春してる感じだべ」

「くっ(笑)そんな事よりよぉ、なんか寒くなって来たな」

『日本は憲法９条によって戦後の平和を維持して来たのです！日本は今、自衛隊を国防軍にし、憲法９条を改正しようとし、まさに軍国主義を繰り返そうとしています！私たちは〜…』

「あん？なんだーあれ」

「下らんデモだな」

「朝日、nhKの回し者か(笑)」

「なー、んな事よりしょんべんしてーわ」

「はーら減った〜、腹減った〜♪」

「ふぃ〜、なんか疲れたな…」



《〜がゆっくりと球場を回ります。長く熱いドラマは今、静かにその幕を閉じ、球児たちの夏が終わります。それでは甲子園球場からお伝えしました》

• 共感！0

• ウォッチリストに追加