「じーじ！いぬのうんこおちとる！」 地面にへばりつくようにして遊んでいた子供の…

「じーじ！いぬのうんこおちとる！」
地面にへばりつくようにして遊んでいた子供の頃は、土の匂いが近かった。
おれはダンゴムシの這う音を聞きながら、爪の間や頬まで泥にまみれて、祖父をはめる為の穴を一生懸命掘っておりました。
そしてその副産物である土塊で、犬糞のレプリカを造っては、きれいに塗りあげられたばかりの縁側にそれを設置、迫真の芝居で祖父を部屋からおびき出す。
祖父の舌打ちを聞くまでが当時おれのの遊びのワンセット。湾。

肝心の穴はあまりにむき出しで誰も落ちない。
仕方ないので、気づかないふりをして自分で落ちちる。

夜の粒々でいつの間にかあたりが見えづらくなるまで繰り返しました。
なんとなく見てくれている者があると感じていたので。

夜中。

救急車の酸っぱい音が、だんだん近づいて。だんだんだんだん近づいて、おれの部屋も真っ赤になってピタと音がとまるんです。

すぐそこで止まったけど、それ以来物音一つしなくて、静寂に耳が喰われるようでした。

がぶがぶ

耳だけならいいけど。
頭から足の先まで喰われそうで、怖くて、布団の中でぎゅっと蹲る。

腕が2本
足が2本
腹があって
へそがある
耳もあるよね
まだあるな

おれはちゃんとここにいる。
何回も何回もそれを確かめて、

確かめてたら、
いつの間にか眠っていました。

ぎゃんぎゃんに光るでっかい仏様がいる
お寺。

線香の臭いが好きで
１本２本、
３本４本、５本６本、７本8本…

鼻の穴に詰めてたら
9本目で母親に叱られました。

寛容な人ですよね。
鼻線香は8本までならオーケー。

ちなみにそれは片穴につき
ということですから
これが両鼻ですと16本。

入ったぶんだけ持ち帰って良いということでしたので、そのようにして、
帰宅後、黒尽くめの服を着替える父母の横で
蚊取り線香と一緒に燃やしました。

眺めていると、
蚊用の線香は、太いしぐるぐるしててかっちょいい。

おれが死んだときは。
人間用のはしょぼいので、こっちをあげてほしいと思いました。

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