何か分からないけど、お前は黙って大人しくしてろ、お前は来るな、引っ込んでろ、とい…

何か分からないけど、お前は黙って大人しくしてろ、お前は来るな、引っ込んでろ、という圧があって、輪に入っていけなかった感じがあった。実際に僕が輪に入ろうとすると嫌な顔をされたり、他の男子とはワイワイ楽しく喋るのに僕とは一切喋らないとか、無愛想な感じで嫌そうに喋られると、決して悲観的になっているわけではなくて、自分は嫌われているのだなと嫌でも思わされる。それを振り切って輪の中に入って行く事は出来なかった。
男子は女子のように数名単位のグループを作ってつるむという習性がなく、だいたいヤンキー組み男子、日陰組み男子（ブサイクで性格も大人しく虐めのターゲットにされやすいしょぼい男子）、そのどちらでもない普通組み男子の三つに分かれる。ヤンキー組みと日陰組みはそれぞれ少数で多数の男子が普通組みに属す。今思えば、とにかく自分を邪魔者扱いして除け者にしようとしたのは普通組み男子の中で主導を握っている連中だった。普通組み男子の中でもいじる側（強いヤツ）といじられる側（弱いヤツ）がいて、僕を嫌い仲間に入れようとしなかったのは強いヤツだった。当時は分からなかったが、今思うにしょぼい僕に入って来られるのが嫌だったのだと思う。こんなヤツとつるんだら自分が属している男子グループの格が落ちるし、「え？お前こんなしょぼいヤツと仲良しなの？プッ、だっせー（笑）」と外部の人間に思われるのが嫌だったのだと思う。女子にさえ舐められて酷い扱いを受けてきたので“自分は人間だと思うから傷付くのであってゴキブリだと思えば嫌われて当たり前だから傷付かない”と思った。
大人しくて冴えないボーッとしたヤツでも顔が端正だったり男っぽい顔だった為に虐められたり除け者にされすまに済んだヤツを何人も見ているし、逆に明るくて元気でも顔がしのぼかった為にからかわれたり馬鹿にされてばかりのヤツも何人も見てきた。ルックスの良い人と仲良くなりたがり顔の悪い者を見下したり避ける人間ほど「人は顔じゃない。中身が大事」と言う。顔の良し悪しというのはとても大きい。人間は誰もが優生思想を持っていて、これは生殖本能に根ざしたものなのでどうにもならない。
特に僕の事を目の敵にして仲間はずれにして虐めたＴ男とK男の事は今でも忘れない。こいつらのせいで辛い中学時代を過ごさねばならなかったからだ。
殴る蹴るの暴行を受けた時も、鞄を隠されて悪戯された時も、靴の中に画鋲を入れられた時も、教科書をゴミ箱に捨てられた時も、誰一人加害者を非難する事はなく、被害者である自分を「だせーヤツ（笑）」と嘲笑したり、「弱いヤツ」「あーイライラするコイツ」と誹謗して責めた。日本人は異常だと思った。虐める側ではなく虐められる側を非難するのだから。直接助ける事が難しいなら職員室に行って先生を呼んできてくれても良いと思うが誰一人そんな人間はいなかった。島国根性という言葉がある。世界的に日本人は陰湿だと言われているがその通りだと思った。

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