魔神が言った。よし、望み通り未来を見透す力をしんぜよう。あぶだかぶだぴー。 …
魔神が言った。よし、望み通り未来を見透す力をしんぜよう。あぶだかぶだぴー。
目が覚めるもまだ夢心地。頭が動き出すまであと少し、布団の中に潜り込んだ。
変な夢だったな、未来が見えるなんて本当ならどれほどいいかw
そう呟いて、時計に手を伸ばした。
いけね、もう起きなきゃ!そう思った瞬間、今日の出来事が事細かく、まるで一日を体験したかのように全て脳裏に浮かんだ。
は?
なんだ今のは⁈
思わずカレンダーを確認する。えっと今日は16日だよな?これから今日が始まるんだよな?
頭の中で今日を体験したのに、これからまた今日を過ごさなくてはならないなんて、どういうことだ。
まさか、あの夢。。
いや、まさなw
信じられるわけがない。しかしあなたはこれから何も起きない日々を過ごすことになる。
その日はまさに一度見たドラマをまた見るかのように、何もかも朝見た風景だった。電車に乗り遅れて上司に叱られる。そのままだ。しかし朝もう体験してるので動じることなく、またかよという気分だった。それを同僚にからかわれるも、これも見ていたので、全て脳裏に浮かんだように口が勝手に答えた。
疑う余地はない。オレは未来が見えている。あれは本当だったんだ!
嬉しさの余り、机の下でガッツポーズをした、しかしこれも見た風景だ。
見たままに仕事を済ませ、見たままに帰りに弁当を買って、見たままに食べた。見たままにシャワーを浴び、見たままにテレビドラマを観る。しかし朝見たままに展開するものだから面白くもない。見たままに歯を磨き、見たままにいつもより早く布団に入った。何もかもトレースした。
あなたはほくそ笑んだ。休日は競馬に行こう。これで億万長者だw
その日、なけなしのお金を突っ込んで、返って来たのは三百円だった。今朝見たままだった。
大きな過ちに気づいた。未来が見えるからといって、それを自在に操れるのではなく、決められた未来をそのままトレースするだけだと。
やばい、咄嗟にそう思った。これはとんでもないことになったぞ。何が起きるか分かったところで何も変えられないんじゃ意味ないじゃないか!
あなたはハズレ馬券を、朝見た通りに投げ捨てた。隣のおじさんが笑う。あぁ、これもそのままだ。。ため息をつく、見たままに。
その日、布団に潜り何度となく唱えた。魔神に会わせろ!魔神に会わせろ!、、いつのまにか眠りにつく。
それではもう半分貰うぞ、いいのか?
あぶだかぶだぴー。
目が覚めた。あなたは恐る恐る今日という日を想像した。しかし何も見えて来ない。
やった!やったぞ!
何も見透せなくなったのだ。以前と変わらぬ、普通の感覚に戻った。今日何が起きるのか分からない。
思わず飛び起きて窓を開けた。冷たい風が部屋を舞う。
あぁ何て素晴らしいんだ。肌寒さに生命の尊さを感じる。
これが人生なんだ!
先のことが分からない、それがこんなにも素晴らしいことだなんて夢にも思わなかった。夢にも、夢、夢?そうだ、何かを奪われた!
何を持って行かれたんだろう。。
あれから3年。助手席に座る女の子に話してみた。案の定信じては貰えない。しかし不思議な事もあるのねと笑ってくれた。
この場面を今も見透していたら、トレースするように作り笑いを浮かべていただろう。
奇跡の中にいる、そう感じる。
そして心から笑った。
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