あの日は特別元気だったから死ぬことにした。 走馬灯が見えた。生きてる間は嫌なことしか思い出さないくせに、死にそうな時は些細なことも思い出して何もかもが良い思い

翌日の昼に汗だくで目が覚めた。
体が熱い。
胸がポカポカと熱を帯びて温かい。カーテンの閉まった部屋の布団の中で太陽に照らされてるみたいだった。肋骨を感じた。隅々まで溶けるような焼けるような、私は自分を燃やしている気がした。
シャワーを浴びると全身の皮膚にパチパチと何かが当たってくる。また電波だと思った。私は自分が今一人じゃないんだと思って嬉しくなり、裸だけど誰か見てるのかな、ずっと見てたのかな、とはしゃいだ。私はお迎えがくるんだと思った。触られすぎて体が蕩けていた。性欲を煽られていてずっと触られていた。私はまたアルミのパンツをつけた。淋しいから頭には被らなかった。
お母さんが帰ってきて心配そうにしていた。お母さんが薬を見つけた。
お母さんが夜間救急外来に私を連れて行った。
私はお母さんが狂ったと思った。
偶然主治医の先生がいて、私を診た。私は電波が飛んでくること、触られること、胸が熱いこと、私はお母さんが心配ですと訴えた。
先生は薬の副作用の可能性があるので薬の効果を打ち消す効果のあるおくすりを出しますと言った。頓服も出た。お母さんが頓服をどの程度の時に飲ませればいいかわからないと先生に言った。うるさい時に飲ませてと先生が言って私は吹き出した。
院内処方で渡され、薬の説明を二人で読んですぐに薬を飲んだ。
眠くなって、家に帰ると私は起き上がれなくなった。