或る春分の日の前の日の出来事 3月19日、なにげなく僕はジ〇ティ→と言うサ…

或る春分の日の前の日の出来事

3月19日、なにげなく僕はジ〇ティ→と言うサイトを見ていました。
リサイクル品などを個人間で売買したり、イベント事を行う仲間を探したり、交流を築く掲示板です。今、流行っている気がします。おすすめです。ジモテ〇ー。
僕が見ている中でひとつ、興味を惹くものがありました。

うちで一緒に飲みませんか？銘酒を揃えてあります。


前にも同じように、サイトの中で一緒にお酒を飲む相手を募集して、２人が来てくれたそうです。この歳になると、人に触れ合う機会はないし、ひとりでお酒を飲んでも味気ないと言っていました。誰かと話したいと言うか人付き合いをしたいという気持ちが伝わって来ました。

兼八、獺祭、銘酒が他多数ありました。僕は上善如水と言う日本酒が目に留まりました。上善水如。くっとお猪口に口を付けると、上善の華やかな香りが、喉の奥を突き抜けていきました。
フルーティーと言うのが、最も相応しいです。お米のまろやかさと、上質で爽快な水の薫りが鼻腔を泳いでいきました。美味しいです。飲みやすくて、ゆっくり味わって飲む事の出来る美味しいお酒です。上善水如。獺祭。日本酒の銘柄には、不思議と小難しい言葉が使われる事が多いです。いとをかし。

備前焼の高価なお猪口を出してくれました。器にもこだわるようになっていたと言っていました。綺麗な端正なお猪口でした。
かぱかぱと僕は上善を飲みました。お酒を飲みながら、相手の話を聞きました。
お話を聞くと、7年前に脳梗塞になってから、離婚をする事になった。
離婚をして、家を取り上げられて、子供の親権を失った。
そして心が病んで来た。鬱になっていて、入院をした。ずらっと多くの薬を僕に見せてくれました。つまみに、お菓子をいくつか出してくれました。食べた安納芋の干し芋は甘みがとても強くて絶品でした。
元々は、公務員をしていて、昔はワインを飲みに神戸に行ったと言っていました。
35歳になる娘がいた事や、息子がこの前30歳になってと言っていました。話を聞いてもらっている喜びと、失った寂しさを感じました。
当時高価だったウイスキーも今になると、随分安くで飲めるようになったと言う話をしました。僕は前の日にちょうど、クラフトビールの特集のテレビ番組を見たので、銀河高原ビールや、よなよなエールの話をしました。あれはめっちゃ美味しいです。嬉しそうに僕の話を聞いてくれる相手を見て、本当にお酒が好きだと言う事が伝わってきました。
ところどころ寂しい話もしました。寂しさってやつが人が１番恐れるものだと実感しました。
自分は脳梗塞になってから、すべて変わっていったと言いました。

僕から見ると、その人の暮らしは決して惨めなものではありませんでした。
押し入れの中には封を空けてないお酒も、たくさんあります。空気清浄機が２つ。扇風機が３つ。広い1Ｋのお部屋でした。
買い物は、ヘルパーの人に頼むこともあるが、自分で行くこともある。大抵のことは今は自分ができるものだと思っているから、相手の感じる窮屈さは分かりませんでした。
障害て言うのは理解できないから、障害というものなのだろうと思いました。

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