元妻を忘れさせたい

昔、プロボウラーＶＳ芸人でボウリング勝負という趣旨の番組がありました。
言うまでもなく、素人またはアマチュアの域を出ない芸人勢には多量のハンディキャップが与えられているのですが、それでもプロボウラーの好調子と芸人勢側数人のチョンボなどがあって勝負は白熱していました。

最終局面、後攻の芸人チームがあと5本も倒せばプロボウラーに勝利するという場面でした。
その時の登板がダチョウ倶楽部の上島さんです。
上島さんはプレッシャーでガチガチに強張りながら、レーンに立ちました。後ろでは、後輩芸人達が上島さんの緊張をほぐそうと
「竜さん、あと５本だよ。ストライクじゃなくて５本でいいんだからもっと肩の力抜いて。」
とフォローを入れました。
すると竜さんは、後輩芸人の方を振り返ってこう言い放つのです。
「ああ駄目。俺はいつもあとちょっとのところで失敗してきたの。100点を目指すと80点とか90点とっちゃう。だから5本倒せ、といわれると3本か4本で終わっちゃうんだよ。それが俺なんだ。だからここはストライクコールで頼む。」

なんとなく自虐的な自己解剖論ですが、これが正確で後輩達からストライクコールを受けた竜さんは宣言通り9本倒すのです。

後輩の方を振り返って嬉しいかな悲しいかなという苦笑いで「なっ」と言った竜さんはとてもカッコよかったです。

主さんを竜さんに例えるわけではけっしてありませんが、少なくとも竜さんを見習った方がいいでしょう。

100点をとろうとすると80点や90点に終わる。実はこの理論は竜さんに限らず、ほとんどの人、もしくはシチュエーションに当てはまることなのです。この場合に置き変えて言うと、元妻の持ちうる魅力を追い越そうと考えると「元妻」が最高点に設定されるわけですから、99点以下は全て負けという厳しい判定を余儀なくされます。
しかしアンジェリーナ・ジョリーを最高点に設定すれば話は違います。仮に30点未満で板チョコのような腹筋を手に入れられなくても十分に元妻の魅力を超えている可能性があります。

このように何かを目指そうとする時はその対象を単なる過程に引き下げて、目標はさらにその上に設定することです。

あともう一つ言うと、嫉妬から始まったものは絶対に人間的魅力には繋がりません。その辺のところはメロドラマを見てるとよく分かります。