あの日は特別元気だったから死ぬことにした。 走馬灯が見えた。生きてる間は嫌なことしか思い出さないくせに、死にそうな時は些細なことも思い出して何もかもが良い思い

一週間に一度だった診察日は回を重ねるごとに伸びていった。
使っていた気持ちを落ち着かせる薬で副作用が出た。生理が止まって母乳が出た。
それから何度も薬が変わった。
どの薬も、どうやら妄想を抑える類の薬ばかりだった。
私はいつの間にか妄想疾患患者扱いになっていた。
だから先生に最初に飲んだ薬のせいだろと言った。先生は私の言葉を遮って不機嫌で強い口を挟ませない抑揚で話を続けた。この話はしたくないということだと思った。
1年後、先生があなたに異常は見られないと思うと言った。私はショックを受けた。その頃には先生と最初の薬の話も出来るようになっていた。私は何故か先生が紫色のライトの部屋で首が締まって酷い顔でブルブル震えるのがいつも眼の前にちらつく。私は先生に恋していた。
先生が私をおかしくなくて治療を終了するといったので、薬を飲むのをやめた。