犯罪はする側が100％悪いですよね？ 例えば性被害なら「男性についていったのが悪い」 窃盗被害なら「そんなお金を持ち歩いてたのが悪い」「肌身離さず持たず

被害者も悪いと述べる人たちは、当然「加害者が一番悪いのは前提」で話していると思います。犯罪を犯した加害者が一番悪いのは当然です。
でも、日本には情状酌量というものがあるように、「加害者にも犯罪を犯した理由がある」「被害者にも犯罪に巻き込まれた落ち度がある」と考えられる事案では、それが量刑に影響するのはご存知ですよね。

いい例でいけば、10年近く前の北海道で起こった殺人事件です。この事件では当時女子高生だった加害者が、祖母と母を殺害しましたが、後に加害者は被害者より長年に渡る壮絶な虐待を受けていたことが発覚し、加害者を擁護する署名が一万人を超える勢いで集まりました。では、この署名を行った方たちが「殺人は悪いことではない」と思っていたかというとそうではありません。殺人はもちろんどんな理由であろうと罪です。
しかしながら、もしこの祖母や母が日頃から娘を大切にし、虐待をしなければこんな事件はまず起こらなかった、と多くの方が考えた、ということです。その考え方を、犯人が犯した罪は悪くないのか、殺人を擁護し肯定するのか、と責めるのは論点がずれていると思いませんか。罪は罪であるけれど、そこに至るまでの経緯をまるっと無視して起こったことだけを責めることはできないのです。

この件と同じように、被害者がその時適切な行動をとっていたら、身を守るために気をつけていれば、そんな犯罪には巻き込まれずに済んだ、と考える人がいるのは自然なことです。でもそれは、犯人が全く悪くないと言っているわけではなく、自己防衛や犯罪に巻き込まれないための最低限の努力を被害者側もできたのではないか、という意味です。
家に鍵をかけずに出掛けて空き巣に入られたら、もちろん空き巣が悪いけれど誰だって「あのとききちんと施錠すれば…！」と後悔するものではないでしょうか。でも、後悔しても空き巣に入られた事実は変わらない。空き巣が悪いと責めたって受けた被害はなかったことにはならないんです。
女性の性犯罪も同じです。ネットで個人情報を流出させるのも同じです。もちろんやったやつが一番悪い。
でもそうならないために、夜道は1人で歩かない、ネットには余計な個人情報を載せないなど、自身でできる防犯と防衛をしていたか否かで、周りの見解は大きく変わるのも仕方ないことだと思います。