芸能人の人身事故

かつては、芸能人は意外にもあまり運転をしなかったのです。

若手のアイドルは、プロダクションがガッチリと厳しく管理していて、絶対に運転免許を取らせなかったり、形式的に免許は取得していても、実際には運転させないようにしていました。

居住地から収録現場や撮影現場までの往復の為の運転は、全て所属プロダクションが専用車を配備した上、その運転はマネージャーが代行していたのです。

歳をとって大物スターとして偉くなれば、専属のお抱え運転手を雇い入れ、人をも羨む高級車を持ちつつも、決して自らの手で愛車のステアリングを握ることはない芸能人が多かったのです。

しかし今では、車社会です。

加えて芸能人と言えども、プライベートタイムに至るまで、本人の自由を束縛し、24時間365日体制で、所属プロダクションの管制下に置くことは、社会通念上、許されなくなりました。

更には人件費の高騰から、お抱え運転手を雇い入れることは、よほどの大物にでもならない限り、できなくなりました。

その為、芸能人と言えども、若手からベテランに至るまで、自ら愛車を持ち、そのステアリングを握ることが、当たり前になったのです。

そして結果的には、芸能人が交通事故を起こす機会も増えたということです。

やたら芸能人の交通事故ばかりが目立つのは、有名人であるが故に、一般人ではテレビは愚か地方新聞にすら載らないような些細な事故でも報道されるからに他なりません。

芸能人に限って、一般人に比べ、著しく運転技量が低いとか、運転が乱暴というわけではないはずです。

ただ一般人は運転技量が未熟な初心者のうちは、軽自動車やコンパクトカーに乗ることが多いものです。

ところが芸能人は、若くして財力に恵まれていることに加え、見栄も手伝って、免許取得直後から、いきなり大きなＳＵＶなどを購入することが多いことも、若手芸能人の交通事故が多い原因のひとつと言える面はあるかもしれません。